• HOME
  • お茶のまちを訪ねる
  • スタバやBAKEが注目する加賀棒茶ってどんなお茶?棒茶の魅力を探ります〜お茶の旅・石川編(小松市)

スタバやBAKEが注目する加賀棒茶ってどんなお茶?棒茶の魅力を探ります〜お茶の旅・石川編(小松市)

お茶のまちを訪ねる

石川県にやってきました! 旅行先での一番の楽しみがお茶になっている長砂です。
今回の石川の旅では、前半は小松市、後半に加賀市を紹介します。

さて、お茶好きのみなさんはすでにお気づきかと思いますが、石川県でお茶といえば・・・そう、「加賀棒茶」ですよね。

2018年の春にはスターバックスが加賀棒茶を使った「ほうじ茶ラテ」を販売し、この秋からはチーズタルトで有名なBAKEから加賀棒茶を使った「期間限定チーズタルト」が出ます。

話題沸騰中の加賀棒茶を、本場で満喫しようと思います!

加賀棒茶の「加賀」は「加賀藩」の加賀

まずはじめに、みなさんにお伝えしておかなければならないことがあります。それは、「加賀棒茶」は石川県加賀市だけの名産ではない、ということです。

「加賀棒茶」の加賀は、かつての「加賀藩」に由来しているので、何も加賀市だけではなく、お隣の小松市や金沢市のお茶屋さんでもつくっていて、実際に、加賀市や小松市よりも金沢市のほうが多くのお茶屋さんがあります。

お茶メモ

お茶づくりを大きく分けると、茶葉をつくる生産者と、茶葉を加工するお茶屋の2つがあります。

もちろん、茶葉の生産者さんが自分で加工して販売することもありますし、茶畑を所有しているお茶屋さんもあります。

加賀棒茶の原料となる茶葉(茎)は、石川県産の茶葉はほとんどなく、他府県産のものを使用していることがほとんどだそうです。
「お茶の産地=茶葉がとれる」というイメージもありますが、必ずしもそうではないんですね。

宇治茶が京都府宇治市だけでとれる茶葉を使っているわけではないのと似ています。

とはいえ、もともとは加賀の地域(石川県)でとれた茶葉をつかって、加賀ならではのオリジナル製法で作られたのが「加賀棒茶」です。

まずは、石川県で初めてお茶の生産に成功したお茶屋さんに行ってみましょう。

北陸にお茶畑をつくった長保屋茶舗

金沢市より南にある小松市には、小松空港もあり、海外から石川県への玄関にもなっています。
この街に、石川県で初めてお茶の栽培に成功した「長保屋茶舗(ちょうぼやちゃほ)」があります。

創業360年、江戸時代に山城国(京都府)から茶の種を取りよせたのが始まりだそうです。今は、お茶の栽培はしておらず、加工・販売をしています。

お店の屋根には甕(かめ)があります。

店主に聞いてみると、甕はお茶屋さんの象徴で、むかしは甕がお茶っぱの保存容器だったそうです。

今でこそ機密性の高いアルミ性のパックに入っていますが、その前までは茶筒、さらにその前は茶箱(木箱)と時代によって保存する道具も運ぶ道具も変化しているんですね。

こちらが北陸で時代を築いてきた長保屋茶舗の加賀棒茶「加賀かほり 棒いり茶」。

加賀棒茶とは、煎茶などをつくる過程で出る茎の部分を焙煎してつくるお茶で、ほうじ茶の一つです。
茎なので、その見た目から棒と呼んでいます。

こちらでは、加賀棒茶と和紅茶を購入させていただきました。

加賀の和紅茶「かがやき」

和紅茶については後半でじっくりと・・・お楽しみに。

棒茶の種類が豊富な鴻渡園

次に向かったのは、同じく小松市にあるお茶屋「鴻渡園(こうどえん)」さん。

外観からしてノスタルジー全開です。
観光客がアクセスしにくく地元のかた向けのように思われるお店には、普段はなかなか入りにくさを感じてしまいますが、加賀棒茶のために突撃します。

長砂「こんにちはー」

店内「・・・」

お店の奥に加工場があり、どうやら作業中の様子。
店内を見渡してみると、あった! 棒茶だ!

棒茶にもランクがあるようです。一番の高級棒茶は売り切れっぽい。
と店内を物色していたところ、ご主人に出てきていただいたので、店頭に並んでいる棒茶のランクについて教えてもらいました。

棒茶のランクは、基本的には棒茶のもとになっている煎茶のランクによって変わるそうで、高級茶の茎はやはり価格が高くなるそうです。

ここで棒茶が生まれた背景を紹介します。

お茶メモ

江戸末期から明治にかけてお茶は主要な輸出品として扱われていました。地元では輸出するような高級茶は出回らなかったため、製造過程で取り除かれる茎の部分を焙じてみたのが始まりと言われています。

なるほど、今でもその流れを汲んでいるので、煎茶のランクによって棒茶のランクも変わるんですね。

この売り切れている高級加賀棒茶の2種類の違いは何かというと、高級茶の茎を、さらに青い(緑)部分と、白い部分に分けているそう!
確かに、普段飲んでいる緑茶の茶葉にも濃い緑色のところもあれば、薄い白っぽい(黄色っぽい)ところがありますよね。

これを選り分けて焙煎することで味に違いが出るそうです。

ご主人に新しいものをパッケージに詰めていただいた、加賀棒茶2種がこちらです。

「吟撰 香林坊」
青棒深焙じ(左)と白棒浅焙じ(右)。

パッケージの裏側に風味チャートがあり、違いが一目瞭然。

茎を焙じるとバラやラベンダーと同じ香り成分が生まれるそうで、白がその香りが強くなり、青は「焙じ香」が強いそう。
こちらが青棒(左)と白棒(右)の茶葉です。

確かに香りが違う! インターネットでは香りが届けられないのが残念。

白棒をいれてみると、ほうじ茶のいい香りですがはっきりした香ばしさというよりか、優しい香りです。

このTeapot Mag.のサイトに掲載したいとお願いすると、お土産用のティーバッグの棒茶をいただきました(ありがとうございます!)

小松市では2件のお茶屋さんで棒茶の歴史などを教えていただきました。
茶葉の産地としてはとても小さくなってしまっても、こうして文化と技術がしっかり残っているのがすごいですね。

後半は、加賀市に移動して、その希少な茶畑を訪問します。長保屋茶舗で手に入れた和紅茶の秘密についても紹介します!!

長保屋茶舗
石川県小松市龍助町81-1
営業時間:9時~18時
定休日:年中無休(夏季・冬季休暇有)
http://www.kagabouiricha.com/

●鴻渡園
石川県小松市今江町7-10
営業時間:9時~19時
定休日:不定休
http://www.komatsuguide.jp/index.php/spot/detail/216/6/1/
※小松市の観光情報サイトのURLです

長砂 伸也

TPM.ライター。宇治茶ムリエ認定取得。駄菓子屋・おにぎり屋もする地域コーディネーター。お茶の加賀に注目!

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧