《前編》「日本緑茶発祥の地」宇治田原町の老舗茶舗でいただく自然の香味豊かな”玉露”

お茶のまちを訪ねる

みなさんは「玉露」と聞いてどのようなイメージを持っていますか?

普段はあまり飲めない貴重なお茶?
なかなか手が出せない値段が高いお茶?
飲んだことがないから分からない?

そんな声を私のまわりでもよく聞きます。
ということで、今回は「玉露」を一般のご家庭から煎茶教室など、お茶のプロフェッショナルにもたくさん提供されている『大正園茶舗』さんに、その淹れ方や飲み方をお伺いしました!

大正園の前から

京都市内から車で約1時間。永谷宗円が青製煎茶製法を広めたことで「日本緑茶発祥の地」とされる宇治田原町。車を走らせていると、お茶屋さんの看板や製茶施設がところどころに見えてきます。お茶のまち、って感じですね!

「大正園」と書かれています。老舗の貫禄が醸し出されます。

今回お話をお伺いする『大正園茶舗』さんは、その宇治田原町でも、京都で栽培される山城産の茶葉一筋にこだわり、生産者により仕上げられたお茶を、先代の「産地からお客様へ・・・手から手許へお届けする」ことを大切にされています。

また、おいしいお茶を納得して飲んでもらい、そのお茶でさらなるお客様をおもてなししていただくことで、「人が人を呼ぶ」ことにこだわる販売店さんです。

店先には季節のお花を。いつでもお茶を淹れられる準備がしてあります。

今回前編では、まず一般的な淹れ方で「玉露」を試してみました。
「玉露」を淹れるとはいえ、他の煎茶を淹れる場合にも、参考になる点が多々ありました!

今回使用する茶器の一揃えのうちの一つ。古伊万里です。

まずは一杯目に、いわゆる玉露を淹れていただきます。

茶合(さごう)に玉露の茶葉を乗せて、茶葉の量を計ります。
その量は茶葉が山盛りになるくらい、意外とたくさん入れるものなのですね!

あらかじめ湯冷ましでお湯を冷ましてから急須に注ぎいれます。
この時、必ず一旦グツグツと沸騰させたお湯を冷ますことが大事とのこと!
(お湯にお水を足して冷ますのはあまり…)
ここで焦らずに〜しっかりと〜冷まします。
焦って熱いうちに急須に淹れてしまうと、お茶の味が全く違ってくるそうです!

ちなみに…熱湯で淹れる「玉露」もあるようなので、「どうしても私はせっかちだ!」と譲らない方は、そんな「玉露」を探してみるのもいいかもしれませんね(笑。

もとい、いよいよ湯飲みにお茶を注ぎます。
こちらの急須は横手(よこて)急須と呼ばれる種類のもので、文字通り急須の横に持ち手が付いているタイプです。

玉露はしっかり湯の温度を冷まして淹れるお茶なので、以下の写真にもあるような、取っ手がなく急須の上から掴むように持つ上手(うわて)急須もよく使われます。

左が上手急須。手のひらで上蓋を抑えながら持ちます。

複数の茶碗に淹れる場合は、それぞれのお茶碗に少しずつつぎ分けて淹れます。
そうすることで全てのお茶碗の味を一定にして淹れることができます。
これは玉露に限らず、煎茶を淹れるときにも、家庭や職場で気をつけておくといいかもしれませんね。

そしてここでもじっくり焦らずに、最後のお茶がなくなるまで、急須を傾けてお茶を注ぎます。
そうすることで、お茶の旨味をしっかり味わうことができます。
とくに最後に出る一滴が一番おいしいとされていますので、その最後の一滴が入ったお茶碗で飲めたらラッキーです!

最後の一滴!

量は少なめになっていますが、お茶特有の旨味がぎゅっと凝縮されています。

淹れていただいた玉露

しっかり旨味が抽出されたお茶を、口に入れて舌の上でコロコロ転がす感覚でいただくと、思わず頰がゆるんでそのおいしさが表情に出てくるよう。実際にいただくと、一般的な普段飲む緑茶や煎茶とは全く違うのが「玉露」だとわかります。
たまにペットボトルでも「玉露入り」という商品もありますが、ぜひ実際の「玉露」の茶葉を手に入れてゆっくり家で急須を使って飲んでほしいですね。

また、たくさん飲もうとすると他の茶葉よりは高価な茶葉なのが「玉露」ですが、たくさん飲むまでもなく楽しめるのも「玉露」です。
店頭で味見して気に入って購入したり、「玉露」ジャケ買いなどをして少しずつでも買って楽しむ。
ジャケ買い、自分で書きながら面白そうですね。
さっそく、私自身もやってみたいと思います!

2煎目を愉しみます

いいお茶は、2煎目、3煎目と同じ茶葉を何度もつかって、それぞれの味を楽しめます。
今回、2煎目は自分で淹れてみましたが、すっきりとしながらも玉露特有の旨味が残っていました。

1煎目は、舌の上でお茶を丸めてコロコロ味わったのに対して、2煎目は舌の上から体に浸透していくまでのすっきりした喉越しを楽しむ感覚で味わうといいかも。(著者談ww)

今回使った茶葉は大正園の「天下一」

茶葉自体はやはりお茶を摘む際の先端部分である「一芯二葉」の部分を丁寧に加工。細かい”より”にされており、高級な雰囲気を醸し出していますね。

さて、次回の後編は同じ玉露を使って、とても変わった飲み方を体験してきたことをお伝えします。
ヒントはこの写真。

ん?湯飲みに茶葉が…

ぜひお楽しみに!

店舗情報

店名:大正園茶舗
住所:〒610-0231 京都府宇治田原町 大字立川小字西垣内7−2
電話:0120-882-012
営業時間:9:00〜17:00
定休日:日曜日
ホームページ:http://taisyouen.com/

稲葉 洋平

TPM.ディレクター。小さい頃から母の出身地である静岡から定期的に送られてくる緑茶が主な飲み物。そのおかげで肌年齢には自信あり。最近は自分でドリップして飲む...

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